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ピーター•アーツ、ラストファイトを前に戦友アンディ•フグの墓前に誓う!

Dec 19, 2013
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「ラストファイトの前にどうしても日本で行ってみたいところがあるんだ」。プロモーションや調整を兼ねて早くから来日していたピーター・アーツから、そんなリクエストをもらった。

日本に何度も来日し、東京だけでなく、名古屋、大阪、福岡、あるいは札幌や仙台など、あらゆるところで試合をし、日本が第二の故郷になっていながら、そのピーターでさえ行ったことのない場所。それが京都の大徳寺にあるアンディ・フグの墓だった。

生前のアンディとピーターは、ライバル同士であり、片やキックボクサーの“ミスターK-1”、もう一方は空手家の“ミスターK-1”として、あの黄金時代を作っていったが、プライベートでは全く交流がないと思っていた。しかし、お互いにリスペクトし合い、プライベートで誰よりも仲が良かった者同士だと知ったのは、アンディが死んでからのことだった。アンディが死んだ日、病院に駆けつけたピーターが人目をはばからず大声で泣いていたのは、今でも脳裏に焼き付いている。

さすがピーターだ。そうか、ラストファイトの前にアンディに会いに行くのはいいかも。ピーターのその思いを叶えようと、急遽日帰りで京都に行くことにした。戦友アンディ・フグにも、ピーターが20年以上のファイト生活に区切りをつけることを報告しに行こう。

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アンディの遺骨は、京都の大徳寺・芳春院に眠っている。僕は去年まで毎年命日になると墓参りに行っていた。そのことをピーターに告げると「K-1は選手を大切にしてくれたし、みんな家族みたいだった」と呟いた。

大徳寺には、石田三成や千利休ら、歴史上の人物の墓がたくさんある。芳春院にはNHKの大河ドラマ「利家とまつ」で有名な前田利家とまつの大きな墓がある。アンディのお墓のすぐ後ろに。僕は歴史が好きなので、自分の拙い知識でピーターにそれらを説明すると、意外にもピーターは立ち止まって熱心に聞いて、いろんな質問をしてきた。だいたい大徳寺といえば、一休さん。「その一休さんに出てくる新右衛門さんの子孫がファイターの武蔵なんだよ」と説明すると、「そうか、ボクはサムライの子孫に勝ったんだー。やったー!」と、無邪気に喜んでいた。

芳春院の本堂には、とても素晴らしい砂の庭園がある。そこの廊下に座りながら、しばし瞑想するピーター。
「なんて美しい庭なんだ。そして、なんて静かな場所なんだ。こんなに美しく、音のない場所は初めてだ」

ピーターもすっかりこの場所が気に入った様子。
「アンディはなんて素晴らしい場所に眠っているんだ。連れてきてくれて、ありがとう。本当に来て良かった」と、何度もつぶやいていた。

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住職に京都ならでは、お茶を立ててもらい。それも気に入って帰りに駅でセットを買っていたほど。お茶をご馳走になったあと、いよいよアンディのお墓へ。

「これが、そうか……」

初めて見るアンディのお墓、そして久々にアンディに再会したかのように、ピーターは神妙な顔をしていた。自らお墓に水をかけ、花を飾り、線香を焚いてお祈りする。アンディが死んでも、その後10年以上に渡って“ミスターK-1”として、K-1と格闘技界を支えてきたピーター。「俺が守ってきたぞ」という報告と、「今週末の試合を最後にケジメをつけるよ」と語りかける。その光景を見ながら、僕はすぐ近くにアンディがいて、本当に喜んでいるような感じがした。

「ピーター、たぶん僕の方が先に死ぬと思うけど、その時は頑張ってここにお墓を建てるから、ピーターも死んだら、ここに墓を建てようよ。そして、天国でK-1をやろう!」

僕がそう言うと、ピーターはニコッとしながら、
「アンディとボクは2勝2敗だからな。決着をつけないと」
とつぶやいた。しっかりと覚えているんだ。

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「マイク(ベルナルド)やヤン・プラス、ピーター・スミット(全て故人)のお墓もここに建てよう。そして、みんなでK-1をやろう! よく若い頃、喧嘩でボクが手を腫らせていたら、ピーター・スミットがキョクシン空手をやって拳を鍛えるんだと言っていた。ボクも習いに行こうと思って、道場に行ったら、お金が足りなくて入れなかったんだよ」と、昔話までしみじみと話し始めた。

「でも、男ばかりだと寂しいから、綺麗な女性とも一緒にここに入りたいな」と、ガハハと笑う。
でも、僕は寂しさと申し訳なさでいっぱいになった。
もう、この2人はあの世でしかK-1はできないのか……。

「アンディになんてお祈りしたの?」
「最後の試合、いつも通りベストを尽くして、ボクが勝つ! 見ててねと」

その時のピーターの表情は、静かにラストファイトに対する気持ちを、あらためて固めたようでもあった。そして、アンディも必ず力を貸すだろう。相手は20歳も年下で、今やGLORY最強の男リコ・ベホーベン。戦前の専門家の予想は、ほとんどがリコのKO勝ち。残酷な世代交代が予測されている。

だけど、僕はピーターが勝つと思う。
いや、アンディが絶対に勝たせるはずだ。

12月21日(土)、有明コロシアムでピーター・アーツ、最後の勇姿をしっかり瞼に焼き付けたい。そして、これが僕らのKの卒業式にもなる。いろいろあったが、僕自身もこれで気持ちにケジメをつけるいい機会になるだろう。

ピーター、こちらこそ一緒にアンディのお墓に来る機会を与えてくれて、ありがとう。そして最後まで、男らしくて、強くて、カッコいいピーター・アーツを間近で見せてくれてありがとう!


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